走りながら荷物を「着る」?! ランニング用バックパックの比較

「どこかへ行くために走る」と「走るために走る」

ランニングの時は手ぶらが一番走りやすい。走るついでにちょっとコンビニに寄って買物も、なんて場合は財布を持って行くけど、その程度の持ち物ですら、ポケットに入れるにしても片手に持つにしてもなんか邪魔くさい。
そんなわけで僕の場合、走る時は走るだけ、用事の時は用事というふうに、両者はわりときっちりと分かれていて、くっつくことは滅多になかった。

ところが世の中には便利なものがいつの間にかできていた。走りながら荷物を持てる、それも言うほどお荷物にならないように、というバックパックだ。これを見つけた時に、僕の中で「走るために走る」ことと、「用事などで目的地に行くために走る」ことがついにくっついたのである。

トレイルランニングから生まれた

このバッグの出自は、トレイルランニングというアウトドアのジャンルだ。なんでも登山をしながら走る、というものらしい。変わったことをやる人々がいるものである。でもおかげで街中で走るのにもちょうどいいバッグがたくさん生まれたのだ。

トレランは山野を走るので、重いバッグを背負うわけにもいかないし、かといって水分補給や着替えなどは必要なので、そういった最低限のものを詰め込んで、「着るように」背負えるようにできている。
ふつうのバックパックだと走った時にユサユサ揺れて、これが走りにくくなる原因の一つなんだけど、トレランのバッグだと身体にぴったりした形状と素材、そして腰と胸のあたりで固定するようになっていることでその揺れがない。揺れがないのがこれほど快適なのか、というのが使ってはじめにびっくりすることである。

この便利なトレランのバッグを街中や通勤で使っている人もちらほらいるようで、バッグの容量も10リットル未満の超軽量なものから、20リットル超えのそこそこたくさん収納できるものまでいろんなタイプが売られている。僕が探したのは20リットル前後。A4の書類が入るくらいのサイズで、ちょっとした服や本・財布・携帯を持ち歩くとなると、このくらいが便利そうだった。

このクラスのランニングバッグ

ドイター:スピード・ライト
最初に目に留まったのがこれ。通勤ランによく使われているようす。

グレゴリー:ミウォック
やや高めだけど、さすがグレゴリーというか、収納ポケット等が機能的で便利そう。

モンベル:クロスランナー・パック
定番のようで評価も高い。

ノースフェイス:マーティンウィング
トレランの名作バッグのアレンジ版らしい。人気ある。

サロモン:アジャイル
とにかくシンプルで軽い。

取り扱い店舗としては、東京ならアートスポーツ、石井スポーツ、さかいやスポーツ、好日山荘等で豊富に揃っている。

SALOMON AGILE17


今回はサロモンのアジャイル17を購入。
よかった点:なんといっても軽い。大きさもジャスト。デザインも気に入った。
いまいちな点:胸のベルトがわりと早い段階でゆるくなってしまった(それでもさほど影響がないところを見ると、このベルトはあまり重要ではないのかもしれないが)。それとポケットが少ないのはたしかにやや不便。

1年弱使ってみたけど、実に便利。ほんとうにいつでも走れるというのと、電車やバスにいちいち乗らなくても移動できるのがいい。
参考までに新宿から渋谷は4km弱、新宿から秋葉原は7~8km。この山手線くらいのエリアであれば、駅の場所に左右されずに自在に動くことができる。自転車がその点では便利だけど、ランニングなら必要に応じて電車に乗れるというのが相当なメリットである。さらに駐輪場もいらない。
普段と違うコースを走る面白さと、あちこちに用事があるとか、駅から離れたところに行くとか、平行して走る二つの鉄道路線間を移動するとか、そういう時にもってこいである。