彝(イ)文字 ꆈꌠꁱꂷ

看板の漢字の上などに、見慣れない記号のようなものが添えられている。これは中国の四川・雲南を中心に住む族の文字「彝文字」と呼ばれるものだ。写真は主に雲南省石林彝族自治県の食堂や薬局、八百屋などの看板や標識である。

彝文字の成立についてははっきりとはわかっておらず、7000年前、漢代、唐代、明代の諸説がある。漢字からの借用もあるが基本的には独自の文字だ。日本の文字である「かな」がすべて漢字から来ていることを考えると、中国大陸で自前の文字を持ち続けてきたというのには驚かされる。

マイナーとはいえ彝族の言語「彝語」を話す人口は800万人弱で、これはチベット語、モンゴル語、ヘブライ語、デンマーク語、スワヒリ語といった有名な言語よりも多い。また1970年代に四川省で整理された規範文字はユニコード化され、現在パソコンでも使うことができる。例えば「 ꉢꆹꋚꋠꀐ(私はご飯を食べた)」といった具合に。

それにしてもこの文字の形、なんとも言えない味がある。西洋占星術のシンボルにも似ていて不思議な感じだ。あのシンボルはバビロニアやギリシャの発祥だったろうか。洋の東西で離れていながら形が似ているのも面白い。