アジアン・アジール3:変わり者の集う街
(プノンペン)

Photo by Luigi Andreola

変わり者の集う街

カンボジアにはいろんな風変わりな旅人がいるんじゃないかという期待があった。日本ほか母国の社会から良くも悪くもはみ出してしまったり、普通に生活してたら会うことがないようなアウトサイダーだったり。というのも今東南アジアで数か月以上の長期滞在をしようと思ったら、この国が圧倒的に条件がいい。ビザが安く、就労ビザも簡単に取れる。物価も多分東南アジアで最も安い。

プノンペンではたまたまバスが着いた場所が近かったので、有名なキャピトルゲストハウスに泊まることにした。これが予想以上にいいところで驚かされた。

まずスタッフが感じがいい。周辺にたむろしてるバイタクやトゥクトゥクのドライバーのガラの悪さとはえらく対照的に(いや彼らも別に悪い人ではないと思うけど)、男女とも穏やかで礼儀がいい。思ったより規模が大きく、自分の部屋に一回案内されても次は迷ってしまうくらいに部屋数が多い。安いのに個室でわりと広い。日本人宿なので得られる情報も多そうだ。すぐ下に系列の旅行代理店があり、ここから各地へのバスの手配ができ、乗り降りもここからできる。wifiは問題なし。快適かつ便利すぎる。
1泊4ドルから。周辺の屋台は1食1ドル程度からある。1か月の生活費が3万円程度から可能なのだ。今度こそアジールを見つけてしまった。

アジアで移動暮らし

隣の部屋に30歳前後の兄ちゃん(Y君)が泊っていて廊下でたまたま会い、少し話をした。Y君は社交的というか日本人を見かけると分け隔てなく話しかけるタイプで、現地の人とも日本語で力技なコミュニケーションをとっていた。夜も彼に「日本の人と飲んでるのでいっしょにどうですか」みたいに誘われて、ここでいわゆる風変りなMさん(30代後半)と会った。

Mさんはもう何年も東南アジアを転々としながら暮らしていて、何をするにももう慣れたものだ。トゥクトゥクの相場も知っていて交渉も一瞬。屋台で飲んでると、通りがかりの人や隣のバーの人らとちょいちょい軽口を交わしていたりした。まるで自分ちの庭だ。知り合いなのかと聞いてみたら、みんな初対面だという。

普段は投資で稼いでいて、金融関係のもやるし、現地で店を買ってどうこうみたいなこともやっているらしい。僕は投資のことはよく知らないけど、Mさんは見るからに駆け引きがうまそうで押しも強そうで、この路線がうまくいくかどうかは個人的資質によりそうだなと思った。

宿に戻ってまた少しその3人で飲んで、寝たのは午前2時くらいだったと思う。プノンペン到着初日から盛りだくさんで、移動の疲れもあり、その日は深い眠りについた。

かに思えたが、夜明け前に奇怪なことが起こった。午前5時頃、どえらいボリュームの音楽で目が覚めた。
何事か。

キャピトルゲストハウスの謎

部屋は通りに面した3階だったのだが、音は窓のすぐ下から来ていた。ほどなくして今度は爆音のサイレン。またほどなくして同じような爆音音楽。僕の部屋は窓際だけど、内側の部屋のY君も「えらい音がしてましたね」と起こされていた。

後で二人でレセプションで聞いてみたけど、スタッフは申し訳なさそうにわからないと言っていた。まあたまたま何か重なったのかもしれないしと部屋を変えたりはしなかった(Y君は移った)。しかし翌日の夜はさらに謎の音が。

…といった具合で、これはさすがにありえない。寝不足を感じながら翌朝宿を移ることになった(*この現象についてご存知の方がいたらぜひ教えてください)。
なんにせよ、僕にとってはキャピトルはアジールにはならなかった。

なお通常はかなりお勧めのゲストハウスである。

Photo by Jonas Hansel