アジアン・アジール2:あるあるトラブル
(ホーチミン)

ベトナムの食

ベトナムのいいところにやっぱり食べ物がある。あっさりしてて食べやすいものが多い。フォー(ベトナムの汁そば?)にはどっさり野菜が添えられ、好きなだけ入れることができる。バインミー(フランスパンのサンドイッチ)もさっぱりしてて美味いし、春巻きだってこっちでは生のもの(ゴイクォン)が多い。
食べ物がかなり自分と相性のいいベトナムは、早くもアジール候補となった。

育ち盛りの国

今アジアの中でもとりわけ成長著しいのはベトナムらしい。アジア各国を人の年齢に置き換えると、タイが40代だとするとベトナムが20代だったか(日本は60代とか)、うろ覚えだけどとにかくそんな勢いらしく、この国へ来ればどんな人でもなにかしらの仕事があるとかないとか。ホーチミンはまさにそういう活気が感じられた。あちこちが大規模工事中(なんでも地下鉄ができるとか)で、大量のバイクが、朝でも夜でも、車道だろうが歩道だろうが、反対車線だろうが赤信号だろうが、雨だろうがなんだろうか走り回っている。都市全体が絶賛稼働中という印象を受ける。

穴場な安宿を発見

安宿エリアのブイビエン・デタム周辺で宿を探してきょろきょろしてる時に、立ち話をしていた女性に宿ならいいのがあると紹介されて一応見てみたら、細い路地の中ほどで5階建て、1フロアまるごと1部屋という優良物件だった。

トイレのドアが壊れてるし私物が置いてあったりしたけど、まあそういうゆるいオーナーなんだろうと思って泊まることにした。荷物を取りにいったん戻ろうとすると、「ほんとにちゃんと泊まるのか、先払いしないと別の客がくるぞ」みたいに言われたので、先に払ってキープしてもらった。
でも結局客は終始僕一人で、途中部屋を見にきた旅行者も何人かいたが、いずれもよそへ行ってしまった。みんな宿を見る目がないなあ。

小さなバルコニーまで付いている

オーナーは年配の夫婦で、直接そこに住んでいるというタイプの宿。部屋であれこれ整理をしていると、旦那さんが上機嫌でやってきた。客が見つかって喜んでいるのだろう。彼は「観光に出かけないのか」と聞いてきた。なんでそんなこと聞くのかな、ああそうかきっと部屋とかベッドをもうちょっと掃除するんだろう。時々宿のスタッフが、バックパックからこっそりとばれない程度にお金を抜き出すという手法があるらしいけど、そうだとしたらそんなそぶりを見せるわけないし。

悪人は人間臭い

…探られてた。僕のバックパックは「ポテチ開け(南京錠をしたまま開けられる)」ができない仕様にがっちりロックしてあったが、帰ってきたらジッパーが外れて(壊れて)いたのだ。いやしかし、ロックしてたら諦めるでしょ普通…。
現金を入れていたら完全にアウトだったし、宿を見る目がないのは自分だった。

それにしてもあまりにもベタすぎる。盗る気満々でぐいぐい前払い予約を勧め、獲物が泊まるとなれば喜びを隠すこともせず、その上「出かけないのか?」と促し、鍵がかかっていたら発覚も恐れず壊してしまうなんて。事実は小説より奇なりというが、リアル悪人はマンガよりコミカルだ。

まあ傍から見れば、この次元の悪人というのはたいていおかしみや親しみがある。マンガの悪役は何気に多くのファンがいるし、タイムボカンシリーズの三悪(悪玉トリオ)に至っては主役を凌ぐ人気がある。

三悪。左からトンズラー、ドロンジョ、ボヤッキー

あのテのキャラは欲だとかノリだとかに背中を押されて、いけないとされることをして失敗する。欲張りで感情的でどこか抜けている。
このおかしみ、何かに似ていると思ったら「人間」のそれだった。道具や無機物を擬人化するとおかしみが出るのも、漫才にボケが必要なのも頷ける。ある意味、「人間とは何か」という問いの答えは「ボヤッキー」であり、人は誰もがボヤッキーなのだ(暴論)。

そうはいっても今回は自分が当事者なので当然おかしみとか親しみとか言ってる場合じゃない。めちゃくちゃ腹が立つ。幸い盗まれたものはなかったにしても、この日以降南京錠でのロックできなくなってしまったのが地味に痛い。くそーあいつらめ…。
「このスカポンタン!!!」
なのである。

壊されたジッパー

宿情報(ブイビエンに行く方は注意されたし)
ゲストハウス名:LY TUNG
ホテル紹介サイトには登録されていない。検索すると日本人で泊まった人の記事「LOVE&SMILE CAMBODIA 4ままブログ:ホーチミン路地裏街ヘム」が出てきた。この人も抜き取られてなければいいんだけど。それとも当時はまだまともな宿だったのかな…。

この他にもバイクに激突されたりと、ホーチミン滞在はベトナムらしい災難が続いた。基本的に居心地はいいものの、ここがアジールになりうるかどうかはひとまず保留といったところだろうか。

ブイビエン通り