手挽きミルでコーヒーを淹れる

Photo by zense

※最後にどんでん返しアリ

イバラの道

「コーヒーの手挽きミルって趣があってよさそう。ごりごりという感触や、豆を粉にするっていうプロセスがプリミティブな感じがする。それに自宅で淹れられるようになれば、いつでも挽きたて淹れたてで好みのコーヒーが安上がり飲める。カフェやコンビニでは当たり外れもあることだし、ここはひとつ、自分でやってみようかな」
というような感じで実際に「自分で挽いて淹れるコーヒー」を始める方も多いのではないでしょうか。

やってみると、たしかにおいしいコーヒーに出会える回数は増えると思います。ただそれと同じくらいの割合、というかそれ以上に、まずいコーヒーにも出会います。そして特に最初のうちは調理というより、理科の実験に近づくかもしれません。また、これだけどこでも安価にコーヒーが飲める今、自分で手作りをするのは、メリットはあまり大きくないでしょう。

たぶん問題は「手挽きミル」にあります。コーヒー豆を「いい」粉にすることはけっこう難しく、一時期はそれでもしっかり作られた良い手挽きミルもあったようですが、今では主流が電動ミルに変わっていったためか、製造コストに見合わない手挽きは、メーカーもあまり力を入れていないのです(このあたり全部想像ですが)。

業務用などのミルは高性能です。しばらく手挽きをやった後にスーパーで粉になったコーヒー豆を買ってみるとわかりますが、挽き具合が断然きれいです。粒が均一なのです。

多様な抽出成分

コーヒー豆の成分はかなりいろいろな種類があって、それぞれが苦味、酸味、甘み、香り、エグみ等を持っていて、淹れる時の条件で抽出される量がコロコロ変わります。条件というのは粉の量、挽き目の細かさ、お湯の温度、淹れるスピード等です。
この条件を調節して、好ましい成分を最も多く、好ましくない成分を最も少なくしたい(というか、それぞれを適量にしたい)わけですが、挽き目がバラバラではどう調節しても好ましくない味が出てしまうため、均一の方が良いのです。

それならば高性能のミルで挽いた粉を買ってくるのがよさそうですが、ややこしいことに、コーヒーというのは挽きたてがおいしい、という面を持っているのです。焙煎したて、挽きたて、淹れたてというのがいいのです。物事なかなか単純にいきません。
挽き目のきれいな粉をとるか、挽きたてをとるか。
後者をとるなら家庭用ミルを使わざるをえません。

今(2015年)の時点では、結論から言うと、最善の選択はたぶんフジローヤルの「みるっこ」(電動ミル)です。使ったことはないですが、手挽きミルの経験にネット、書籍、雑誌等の情報を合わせて考えるとそうなります。
みるっこは手挽きではないし、家庭でコーヒー豆を挽くだけの機器としてはかなり大きく、場所をとります。さらに高額です。ただ、どこでも売っているので、生産中止になった高品質の手挽きミルより入手しやすいのです。

いろいろ使ってみてのミルレビュー

それでも手挽きがいい、という場合、1万円前後で、ザッセンハウス、プジョー、ダイヤミル(カリタ)等が買えるので、このあたりから選ぶことが多いと思います。僕が実際にそうでしたので、いくつかレビューをしてみようと思います。

はじめは、ザッセンハウスのセンホゼを使っていました。また、これで挽いた粉を、「マイクロパウダーセパレーター」というふるいにかけてみたところ、少し味が改善されました。ただ、かけすぎるとかなり粉の量が減ってしまいます。

次にダイヤミルです。これは挽くのに時間がかかる(特に粒の大きい豆は苦手)ことが多いですが、失敗することがサンホゼより少なくなりました。

しばらくして味が落ちたように感じて、ネットで見よう見真似で刃を研いだりしてみたらなお悪くなったので刃を交換したところ、またうまく淹れられるようになりました。ところがまたしばらくして味が落ちて、今度は刃を変えようが何をしようがうまく淹れられなくなってしまいました。それ以降置物になってしまい、原因は今でもわかりません。
プジョーについては使ったことがなくわからないです。

まっとうな手挽きミル:スポング、(旧)ザッセンハウス

あれこれ試行錯誤した結果、うまく淹れられることも増えましたが、そうでないこともしばしばでした。やがて、挽いて淹れることは少なくなっていきました。
ところがある日。

職場にあったスポングに出会いました。
そしてこれこそがまっとうな手挽きミルだったのです。数回の試行錯誤で普通に、普通以上のコーヒーが淹れられるようになりました。
しかし残念ながらこのミルは、今は作られていないのです。

また、これは実家で使われていたザッセンハウス(2006年頃の倒産前)の156 mokka(現行版のサンティアゴに相当)です。一説によるとザッセンハウスは倒産前と倒産後でミルの質が変わったと言われていますが、先のサンホゼと較べてこちらの方がだいぶうまくできるので、その噂は本当かなと思います。

ちなみにこれは、一度さかさに落っことしてしまったらしく上部が少しへこんでいます。それが味に影響しているかどうかは、落とす前を知らないので不明。それでも、スポングほどではないですが、かなりうまく淹れられます。

というわけで、僕が知っている中でベストの手挽きミルは、スポングかザッセンハウス(倒産以前のもの)になります。そしておそらく、手挽きミル全体でみても――手前みそかもしれませんが――そうなるんじゃないかと思います。

まとめ

家庭用のミルとしては、上記の手挽きミルをオークション等でなんとか購入するか、電動の「みるっこ」が間違えがないといえそうです。
入門用としてはダイヤミル、新ザッセンハウス、プジョーでもそこそこ、といったところかと思います。

なお、はじめに「自分で淹れるメリットは少ない」と書きましたが、それがかえって、うまくいった時を際立たせることもあります。そして本当においしいコーヒーは、時間の流れというか空気というか、を変えるし、その空気は半日~一日持続したりします。興味があったらやってみるのも悪くないです。

(追記)どんでん返し:ポーレックスミル

というわけで、もうふつうに買える手挽きミルではうまく淹れられない、みたいに書きましたが(じっさいそう思っていましたが)、ひょんなことからポーレックスミルを借りて使うことになりました。

…わりと良いです。3千円強のミルが、現行の1万円クラスを凌駕しています。金額であなどっててノーマークでした。なんかこれで、僕にとって手挽きミル全体のイメージが変わる勢いです。なにしろ、もう手挽きの時代は終わったぐらいに思ってましたから。

まだまだ、手挽き+ハンドドリップは気軽に楽しめます。