星と時間とグランドブダペスト

2回でようやく完結する映画?!

1回目と2回目でこれほど印象の変わる映画も珍しい。 というのは、1回目は、映像は独特できれいだけど、テンポが早すぎて字幕を追うので精一杯でその映像自体よく見れなくて、ストーリーもよくわからない。なんだかこちょこちょ動き回るせわしない映画だったなーという印象で終わってしまう。そもそもグスタブとムスタファってところからしてややこしくないか?でもところどころ面白かったり、見直してみたくなる感触が残る。

というわけで2回目を観ることになる。すると、今度はそのテンポの早さがむしろ快適になる。1回目でよくわからなかったことが幸いしてか、初めて観るかのように新鮮に感じる。ミステリー、コメディ、アドベンチャー。それぞれの持ち味。そして映像もじっくり見れる。色彩、構図、音楽。

さらに何がコメディなのかいまひとつピンとこなかったところも、すっと感じ取れるようになる。繊細なおかしみなのだ。そして、「心地いいこじんまりさ」とでもいった1つ1つのシーンと、時代や舞台が次々とダイナミックに変わるところも不思議なコントラスト。

コメディと詩のとり合せ

2回目ではじめて気がついたことがある。

詩の面白さである。

主にグスタブのセリフがちょいちょい詩になったり韻を踏んでたりする。一瞬なので内容までよく捉えきれないけど、これもなんかいい。映画とコメディと詩というのは最近あまり見かけないけど面白いとり合わせ、アイデアだと思った。

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ああ、どこから来たの? 光り輝く天のアイデアたちよ

私たちの星降る窓辺の 成層圏を横切る時

手に手をとって 刹那のうちに…

一つは東から、 一つは西から

(アガサの詩をもじってみたました)

シュテファン・ツヴァイクからインスパイア

ツヴァイクは20世紀前半の頃の作家で、「人類の星の時間」(このタイトルなんかかっこいい)をはじめ、多くの小説や伝記を書いている。ウェス・アンダーソン監督は、ツヴァイクの小説とツヴァイク自身の自伝をミックスさせるような手法で、このグランド・ブダペスト・ホテルを作り上げたのだという。

二つの世界大戦に挟まれた時代のヨーロッパで、ユダヤ系のツヴァイクは過酷な道を辿ることになった。この作品の洒落たおもちゃ箱風なコーティングの下は、実はそんな悲しいベースがあったのだ。そのへんのことがわかってくると、またひとつ味わいが増す。

参考

「グランド・ブダペスト・ホテル」とツヴァイク(映画評論家町山智浩アメリカ日記)

町山智浩が映画「グランドブダペストホテル」を解説 - YouTube